3月8日本会議での私の一般質問について要旨を掲載しました。なお、正確な議事録ではありませんのでご了承のほどよろしくお願いいたします。
1.ICT教育が生徒・児童に与える影響について
2.DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進について
3.橋梁の老朽化対策について
1.ICT教育が生徒・児童に与える影響について
令和2年度中に奈良市にはICT教育の推進により、全国に先駆けてタブレット端末導入によるPCが本市中学生、小学生に配布されている。
一方でこれらの取組状況のなかで、生徒・児童に与える影響について、保護者等からお聞きした課題について数点、教育部長に問う。
問1
本市が配布をしているタブレット端末はクロームブックとうかがっているが、端末の重さは1.3キロ程度あり、日々の学習課題等で端末を自宅に持ち帰ることが日常化していると聞く。通学時に持ち運ぶその他の紙媒体の教材とも含めると、特に低学年の児童には負荷が掛かると考えるが、これらの声についてはどのように対応しているのか。
答1
タブレット端末の持ち帰りについては、各学校において、小学校低学年を中心に持ち帰りの曜日の工夫をするなど、携行品の重さや量に配慮した運用を実施している。
その際には、ただ持ち帰るだけではなく、家庭学習や家庭での利用につながる取組をあわせた運用となるよう指導している。
携行品のうち教科書については、国においてデジタル教科書の議論が重ねられており、この動きについても注視しながら、引き続き児童生徒の携行品の重さや量について適切なものとなるよう努めてまいりたい。
問2
学校内や自宅での学習課題に取り組む際に、タブレット端末を長時間操作することにより生徒・児童に与える電磁波の影響がないのか、という心配の声が聞かれる。こうした環境のなか、ICT教育推進による利便性のメリット以外に、こういったデメリットについてどう認識し、保護者や生徒・児童にこれらの課題解決を促そうとしているのか。
答2
ICTによる電磁波については、国の電波防護指針の中で、人体に有害な影響を及ぼさない基準値が示されている。学校におけるICTに関しては、この指針を遵守した機器を使用している。
本市においては、文部科学省が作成している「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」等の資料を活用しながら、市立小・中学校において運用ルールを定めている。
各校では、児童生徒に対して、運用ルールの内容について、例えば、正しい姿勢で使用することや使用時間を決めることなど、健康上の配慮も含めた適切なICT活用について指導するとともに、留意事項を示したものを各家庭に配布し啓発を行っている。
問3
生徒・児童がタブレット端末による課題をこなす際に、たとえば自宅で持ち帰る宿題の場面があると伺っています。こうした課題の場合、例えばホームページ検索や動画配信等によりが宿題に着手すると、子どもにとってほかに関心のあるページや 動画などが流れる等教育時間が少なくなるとの声も伺っている。タブレット端末上での操作について、どのようなフィルタリング機能が備わっており、また今後こうした声にどのように対応していこうと考えているのか。
答3
具体的には、YouTube動画についてはアダルトや暴力といった児童生徒に不適切な動画を排除している。また、Webサイトについては、アダルト、ゲーム、ソーシャルネットワーキングサービスなどのカテゴリに分類されるものを閲覧できない仕組みとしている。
学校から各家庭に対して、家庭での端末利用について、児童生徒と保護者の間で約束を決めるなど、ICT機器との向き合い方について話し合う時間を持つなどのお願いをしている。本市としては、家庭も含めた端末利用に関して、有識者や保護者等から意見を聞くなどして、状況に応じた対応を進めているところである。
再質問
ICT教育が生徒・児童に与える影響について関連して教育長に問う。現代社会は利便性追求の結果、毎日が目まぐるしく変化する社会であり、ストレスと共に生きる社会といわれます。こうした中で、心の豊かさをいかに保つか、これらの大切さを学校のみならず家庭をはじめあらゆる教育現場に落とし込めているかがが重要な鍵になると考える。
そこで、比較的容易に取り組める美しいものを愛でること、いわゆる美育という教育手法についてお聞きしたい。たとえば家庭で一輪の花を花器に挿して愛でる方法もあれば、学校に関連する敷地内内に花壇を置く方法もある。これらは花や緑に触れる機会が多ければ多いほど、植物から受ける癒し効果等の効用が高い傾向があるというデータがある。学校教育の現場ではこうした教育手法についてどのように考えているのか、また学校現場での実践の事例などがあれば合わせてお聞かせいただきたい。
答(再質問)
心の豊かさを大切にすることについては、学校のみならず家庭も含めたあらゆる場面で実践されていくものと認識している。各学校では、道徳教育や様々な体験活動、多様な表現や鑑賞の活動等を通して、豊かな心や創造性を育む教育の充実に努めている。
例えば、学校によっては、保護者や地域の方のご協力をいただきながら、玄関や教室に花を生ける活動を行っている。今後も、子どもたちの心を豊かに育むために、地域・家庭と連携協働しながら、自然の中での豊かな体験や、文化芸術を体験することができる機会を充実させてまいりたい。
意見
本市は新型コロナウィルス感染症による政府の後押しや地方創生臨時交付金の活用により一気にGIGAスクール構想の環境が整ったという事情もあり、まだ手探りの状況が続いている状況が想像される。
特に小学校低学年はこれからデジタル社会に少なくとも9年間はお付き合いをしてく必要がある。一度きりではなく、定着するまで教育現場でのルール作りを定期的な繰り返し伝達をすることで、学校と家庭のなかでの上手なICT機器の利用に慣れ親しんでいく必要がある。
教育委員会においても心の豊かさの実践を取り上げさせていただいたが、各学校でのこうした美育のも活動に着目いただき、継続的に実践されておられる方々への支援の手を差し伸べていただくよう要望したい。
2.DXの推進について
DXの基本的な認識について総合政策部長に問う。
問1
DXが行政サービス、ならびに庁舎内の職場環境にどのような効果があると考えているのか、合わせて令和2年度の計上事業による主な効果について問う。
答1
DXの推進が行政サービス及び職員の業務の進め方等職場環境に与える効果について、厳しい財政状況のもと、多様化する行政ニーズに対して、限られた職員数で、行政サービスのレベルを維持することはもとより、より住民本位のサービスを提供できるものと考えている。
(中略)
障害者福祉に関する相談や市・県民税に関する内容の説明など9つの業務において、今月(3月)から、オンラインの活用により、市民の皆様にわざわざ本庁にお越しいただかなくてもより身近な出張所や行政センターで相談や説明のサービスを受けていただけるようになった。
問2
自治体が共通基盤を使うことで職員の業務プロセスに変化が生じるものと考えます。DXはデジタル化が目的ではなく、全体最適での経営効率化こそが目指すべき目標となります。そこでDX推進による経営効率化によるコスト減についてはどの程度発生すると考えているのか、今後の目標設定等も含めて問う。
答2
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)だけでお示しすると、令和元年度の1年間で、国民健康保険業務において年間延べ約770時間の削減効果が得られている。
今後も、機械に任せられる仕事は機械に任せ、限られた数の職員を有効に活用していく必要がある。このためには業務の進め方を抜本的に変更する、場合によっては庁内の部署をまたいで横断的に業務の手順や工程を見直すなど業務変革を行うことにより、DXの推進により全体最適による経営効率化を実現することを目標として掲げ、取組みを進めていく必要があると考えている。
問3
DXを今後推進するにあたり、現状のCIO職のあり方についてはどう考えるか、また行政CDOの必要性について、どのように認識しているか、問う。
答3
組織全体のデジタル化、DXを推進するリーダーが担う役職としてCDOという役割の必要性から、現在のところ、本市においてはCIOがCDOの役割も果たしていただいていると認識している。
問4
本市が昨年公開した奈良市地図情報公開サイトですが、市道の穴ぼこを市民がオンライン上で通報できるシステムなど、一定の共通基盤のシステムを使うことで利用者の利便性は向上していると考えられます。一方で行政としては今後データの蓄積による自治体経営が問われてきますが、こうしたシステムをどのように今後活用しようとしているのか、その展開の考えについて問う。
答4
奈良市地図情報公開サイトは、本市が保有する地図情報を広く市民の皆様にご活用いただこうという目的で、昨年12月に運用を開始した。これは市民に対して紙等のアナログ的なものではなくデジタルサービスを提供しているという意味でもDXの一つの実施策であると考えている。
(略)今後も、さらに蓄積されたデータを職員間で共有し、市民目線での利活用につなげていくとともに、あわせて、市民参加型、双方向の業務の拡張を図ってまいりたい。
問(再質問)
1点目にDX事業が推進されることに伴い、事務事業に取り組む際の職員の意識の変容が求められる。この点について各課での意識改善をどのように促そうとしているのか。
2点目にDX推進は次期定員適正化計画にどのような影響を与えると考えるか。
答(再質問)
本市においても、在宅勤務やweb会議の運用を始めており、新たな技術を取り入れ将来に向けての働き方を模索しつつ、併せて職員には新たな発想をもって仕事に臨むべく、意識の改革に努めているところ。
(略)
DXは新たな発想をもって従前業務に整理をかけていかなければない。DX導入の実務では所管課だけではなくDXに精通している者が作業に応援に入り、支援する必要があり、そのような場を活用して意識の醸成を図ることも可能と考えている。
次期定員適正化計画につきましては、DX関連の事業の進捗を見ながら、検討すべきものと考えている。
意見
DX推進においては、市民の目線で何が必要な行政サービスなのか、また本市職員自身がDXについて意識付け出来ているのか、という点が重要。
ICTとDXはそもそも異なりますし、DXの目的は人員削減でもなく、業務効率化だ。本市が現在取り組んでいる様々な事業の紹介が答弁にあったが、ICTの力によって、職員の業務負担を減らし、本来注力すべき業務にいかに振り分けられるか、が鍵になってきます。
今後はデジタル庁創設などを見据えて、各課での業務がどのように変容するのか、いまのうちから情報政策に精通した人材を採用する等を通してDXに伴う業務の洗い出しを行っておく必要がある。
3.橋梁の老朽化対策について
本市が抱える橋梁の老朽化対策について建設部長にお聞きしたい(質問は令和元年に策定された本市の国土強靭化地域計画に沿う)。
問1
橋梁の耐震化について。第一次緊急輸送道路、第二次緊急輸送道路の耐震化対策の進ちょくについて問う。
答1
本市が管理している659橋の橋梁のうち、緊急輸送道路及びそれに架かる橋梁並びに軌道上に架かる橋梁が32橋ある。このうち、緊急輸送道路及びそれに架かる橋梁が22橋あり、このうち直轄国道及び緊急輸送道路を跨ぐ橋梁から優先的に事業を実施している。
問2
橋梁の長寿命化について。659橋ある本市の修繕対象の橋梁のうち、令和2年度はⅢ判定の早期措置段階は何橋存在し何橋の修繕対応が終わったのか、Ⅳ判定についても同様に問う。
答2
奈良市が管理する橋長2メートル以上の659橋のうち、1巡目の定期点検結果において、直ちに危険な状態ではないものの、早期に措置を講ずべき状態である「判定区分Ⅲ」が44橋あり、緊急に措置を講ずべき状態である「判定区分Ⅳ」が3橋あった。
これまでの実績として、これら47橋のうち、令和元年度末までに10橋の長寿命化修繕工事を完了した。
問3
早期措置段階Ⅲの橋梁については、、たとえば、地元の綾女新橋では通勤通学をはじめとする生活道として利用されている市民が多数おられ、早期の改善対応の声が従前より求められている。
令和3年度の修繕計画については、どのように進めていこうと考えているのか。橋梁長寿命化策定計画の策定が進められていると 伺っているが、その手法は長寿命化なのか耐震化によるものか、着手の優先順位についても併せて問う。
答3
今年度末を目途に、これまでの点検結果を踏まえた橋梁の長寿命化修繕計画を改定し、2巡目の点検が終了する令和5年度末までに、「Ⅲ判定」並びに「Ⅳ判定」となった橋梁から予防保全段階である「判定区分Ⅱ」以上に改善することを目標に橋梁の老朽化対策に取り組んでいきたいと考えている。
令和3年度の長寿命化修繕工事は14橋を予定しており、これまでとあわせて25橋の修繕工事が完了となる予定。残りの22橋についても令和5年度末での完了を目指しており、「あやめ新橋」も、残りの22橋に含まれている。
残る「Ⅲ判定」の橋梁の中には、緊急輸送道路上や他の要件において耐震補強工事についても緊急性の高い橋梁があることから、令和3年度にはそれら個別の橋梁について、修繕及び耐震の進め方、その方法について調査検討を行うこととしている。
意見
答弁にあった橋梁の修繕状況を総合すると、659ある市内管理の橋梁のうち、令和4年度以降に区分Ⅲとして修繕が残っている橋梁は緊急輸送道路に関連する箇所も含めて22か所あることになる。
本市の国土強靭化地域計画に沿って考えれば、緊急輸送道路に関連する箇所を優先することはやむを得ないと考えるが、今回取り上げさせていただいた綾女新橋については、85.3mある通学路としても利用されており、緊急輸送道路以外に区分Ⅲとして修繕が求められている橋梁のなかで、橋の長さ(橋長)順で並べ替えると、最も長い橋長となる。平成30年の大阪府北部地震でも児童が通学中に橋梁の上で揺れを感じ、大変怖い思いをされたとの声も上がっている。
令和5年度という修繕標年度が定まったと考える。市全体の橋梁の安全確保にむけて、残された修繕が必要な橋梁について、修繕計画の優先順位を客観的な形で市民に示していただき、国の制度も活用しながら効率的な老朽化対策を実施いただきたい。